西行法師の実名は佐藤義清(のりきよ)で1118年~1190年 西行法師の西行は雅号で、法名は円位です。
花と月を愛した大歌人で、「新古今和歌集」だけで、94首の歌が収められています。
西行法師の歌は藤原定家のように技巧にこだわるの事なく、五感で感じたままを素直に詠んでいます。
西行法師は文永元年(1118年)左衛門の尉の父 佐藤康清と母は源清経の娘、その次男として誕生。
佐藤仲清は兄です。
佐藤家は近江三上山の百足(ムカデ)退治で有名な藤原秀郷は先祖で西行法師はその9世の孫です。
佐藤家は代々、君主を警衛する近衛兵に仕えて経済的にも恵まれた家柄の出身です。
祖父の時代から徳大寺家に仕えていて西行法師も15~16歳の頃から徳大寺実能に仕えていて、左兵衛尉の三等官に任ぜられて、その後鳥羽院の北面の武士として仕えていた。
西行法師の家族構成は?
西行法師は名門の裕福な家柄に生まれますが、幼い時に父親を失い、18歳で北面の武士として朝廷に仕えます。
23歳で出家する前は妻帯者です。
妻と1男1女がいました。
西行法師の「西行物語」
西行法師が出家する時、すがりつく幼い娘を蹴っ飛ばして出て行ったというエピソードがありますが、この文面だけの父親のイメージは非情な印象があります。
出家する前に、弟に実子と同じように養育してくれと頼んで出家していますので情には篤い人柄ということがうなずけますね。
その数年後に娘の暮らす家の近くにやってきた西行法師は、数人の子供達と仲良く遊んでいた娘を見つけてのぞきみしていたところ、娘に気づかれてしまい、「変なオジサンがいるから、アッチで遊ぼう!」と言って逃げられた事がありました。「発心集」より
出家しても全く俗世間のことを捨てきれていない、煩悩を滅することが出来るはずがありませんよね。
そんな西行法師に人の情け、温かみを感じますよね。
西行法師 出家後の妻子はどこで生活したのでしょうか?
そして西行法師の出家後に西行法師が、高野山にいることを知った妻は尼となって、高野山が女人禁制のために、高野山の麓、参詣道の途中の和歌山県伊都郡かつらぎちょう上天野の里に移ってきます。
幼女に出されていた娘も成人して尼となって京都から母の元へ移って来て母子は修行しながら、仲睦まじく暮らし生涯を終えたことが伝わっています。
高野山と都とを頻繁に通った西行法師だから、家族団らんの時を過ごしたことでしょう。
天野には、現在も西行法師の妻と娘の住まいを再建した「西行堂」や妻と娘の墓と伝えられている墓や妻と娘を供養した四基の宝塔などの遺跡があります。
30数年住んだ高野山離れ更に伊勢に草庵を結び、2度めの奥州の旅にでていた。
その間に平清盛は亡くなり、都は混乱して人々の心も荒廃していくなかで、西行法師は自身と向き合って、世の無常と向き合い悟りを見出そうとして山林を彷徨い歌を詠み続けた。
西行法師が妻子を捨てて出家したのはなぜ?
西行法師自身が北面の武士でありながら、現在のエリート武官を捨ててまで出家できた理由は?
佐藤家は紀州に広大な領地を持ち代々、君主を警衛する近衛兵に仕えて経済的にも恵まれた家柄の出身です。
裕福な北面の武士の家柄で、経済力から考えても当主の西行法師が出家しても、後に残された妻子が困窮しない程の余力があったから、安心して出家できたことでしょう。
西行法師の出家
平安時代末期から鎌倉時代の当時、上流階級の人の出家は珍しいことではないが、大きな寺院ではなく、どの宗派にも属さず、地位や名誉を求めたわけでもなく、山に籠って歌をとおして自分の人生にむきあった。
地位や名誉や富を求めるのでもなく周囲はその志に感銘をうけた。
出家の原因は親友の急死や失恋説、皇位継承などの争いがありますが、真実は西行法師でなければわかりません。
西行法師の生き方から感じることは、外的要因ではなく、内的要因「より良い自己形成」が目的であると思います。
俗世間の地位や名誉以上に自分を高めることが価値的と考えていたのでしょう。
西行法師の晩年は?
西行法師は晩年を現在の大阪府南河内郡南河内町弘川にある龍池山弘川寺で過ごした。
空海ゆかりの名刹の弘川寺で73歳の生涯に幕を下ろしました。
こよなく桜を愛した西行法師ですが、春には弘川寺境内の1500本の桜が春には見事に花開きます。
宮廷を去った西行法師は都の鞍馬で小さな庵を結び自信を見つめ、その後、旅に出ます。
桜を愛した西行法師は、3年ほど吉野山で生活して、28歳で奥州藤原氏を訪ね平泉へ。
その後は、高野山で30年過ごし、生涯の地が現在の大阪府南河内郡南河内町弘川にある龍池山弘川寺で過ごしました。
行く先々で歌を詠んで旅の途中でそれを残しました。
後鳥羽院は花鳥風月を素直に表現した西行法師の数々の歌を好みました。
後世に大きな影響を与えた西行法師の生きかた素晴らしいですね。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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